僕は本屋になりたかった

本の世界でさまよって

僕と本との恋愛遍歴(ご挨拶に代えて)

 訪ねてくれてありがとう。このブログでは、読んだ本の感想や書評など読書録が中心になると思う。それに加えて、子育てのこと、日常のことなども書いていきたい。基本的には自己満足のために書いている。それでも、読んでくれたあなたに何か残れば幸いだ。最初の記事は、僕と本との恋愛遍歴について書いていきたい。

 

本との出会い

 

 多くの読書家と呼ばれる人は幼少期から本に親しんでいることが多い。敬愛する出口治明松岡正剛といった愛書家の人たちは、幼少期から活字中毒だったことで知られている。一方、僕は高校くらいまで教科書の類をのぞいて、ほとんど本を読んだ記憶がない。唯一、夢中になって読んだのが沢木耕太郎の『深夜特急』だった。中学生の頃のことだったと思う。

 

香港には、光があり、そして影があった。光の世界が眩く輝けば輝くほど、その傍らにできる影も色濃く落ちる。その光と影のコントラストが、私の胸にも静かに沁み入り、眼をそらすことができなくなったのだ。

 

 こんな一文が強く印象に残った。また、朝起きてからその日なにをするか決めるというバックパッカーの気楽さにも憧れを持った記憶がある。大学を卒業したのちも就職もせず、ブラブラしているのもきっとその影響のせいだ。

 

大学時代にビジネス書にはまる

 

 冗談はさておき、『深夜特急』には夢中になったもののその後も本の世界とは距離があった。本格的に本の世界に入っていくのは大学生になってからだった。大学生活にあまり馴染めなかった僕は、本の世界に溺れることで現実逃避することに成功した。授業中にも関係ないの本を読み、図書館が僕のリビングルームになった。しかし、当時読んだ本の大半は、金儲け(投資や起業)の本などで自分の血にも肉にもならなかった。残念である。

 

 そして、さらに残念なことに大学2年か3年の時に失恋をした。正直、今考えるとなんてことはないのだけれど、当時は死のうとすら思った。そんなときに読んだのが、村上春樹の 『ノルウェーの森』だった。登場人物の一人が、その彼女と同じ名前だったことで余計に気落ちしたことも今では良い思い出である。あと、江國香織辻仁成の『冷静と情熱のあいだ』を読んだのもこのころだったと思う。

 

現実逃避としての読書

 

 大学在学中に僕はインターネットでの物販を始めていた。それでなんとか飯を食っていける目処が立っていたこともあり、就職という二文字は僕の頭の中から完全に消去されていた。結局、就職活動すらせず、自営業として社会に放り出されることになった。二十代にやらかした僕の間抜けな決断の中でもダントツ1位なのが、この「就職しない」という決断だろう。

 

 二十代半ばまでは、比較的順調に稼げていた。しかし、年々環境は厳しくなり、今では毎月、お金のやりくりに汲々としている。まあ、自分で決めたことなので自分で責任を取るしかない。でも、つらい現実は見たくない。そこで現実逃避のために僕はまたもや本の世界に溺れることにしたのだ。このツケもいつかは払わされることになるだろう。だけど、もうしばらくは、本の世界に溺れていたい。